研究室選び+

研究室で伸びる学生=どこに行っても(研究)成果を出せる学生:指導教官の手足となって実験すればもちろん成果は出るのですが、自分の頭がついてこなければ卒業後に困ります。以下にどこでも(会社でもアカデミアでも)成果を出せる人材になる確率が高い、伸びる(一緒に研究したい)学生像を示します。

  • 学部の成績が良い-成績と研究能力には正の相関があります (地頭が良いとは違います。決められた課題を期間内に終わらせる努力ができる学生は研究の方法も身につけることができます)
  • 能動的-3回生までは授業に出席すれば出席点がもらえ、与えられた課題をこなせば”優”がもらえます。研究室ではプラスアルファとして、研究室メンバーとの切磋琢磨が求められます。
  • 身軽で手が動く-未知の問題を解くためには、まず実験してヒントを集めることが大事です。考え抜いて最適条件を吟味して・・結局うまくいかない、は研究あるある*です(*逆に最初の条件が一番良かった、もあるあるです)
  • コミュ力がある-現代の化学研究は一人では進められません。未知の問題を解くためには、あらゆるリソースを活用しなければいけません。どんな場所でも・どんな相手に対しても堂々と自分を主張し議論できる度胸と知性(=コミュ力)が必要です。(世間の認識が追いついていませんが、どんな職業にもまして、研究者こそコミュ力が必要です)
  • 素直-素直な人には情報・リソースが集まります。ひねくれた人は周りを疲弊させます。(ひねくれた人のほうが研究者に向いているという誤解がありますが、ひねくれとこだわりは別物です)。

伸びる学生も伸びる環境になければ宝の持ち腐れです。以下に学生を伸ばす(こうありたい)研究室像を示します。

  • 居心地がよいー快適に過ごせることが大前提です。
  • 試行錯誤すべき場所で試行錯誤できるー研究室紹介などで、”学生自ら考え、試行錯誤しながら研究を進めてもらいます”という言説を散見します。一見尤もらしいですが、鵜呑みにするのは危険です。というのも、現代化学のフロンティアは、学生が試行錯誤して届くところにはありません。闇雲に試行錯誤する前に、まず先人が積み上げた石垣をフロンティアが見えるところまで登る必要があります。学生をそこまで導く体制(あるいは意思)がある研究室は、すべき場所で試行錯誤させてくれるでしょう。指導体制を配属前に見極めるのは至難の業ですが、学生が筆頭著者の論文が多い・博士課程の学生が多い研究室は体制が整っていることが多いです。
  • 必殺技/得意技がある-特に卒業後大学や国研などアカデミックに進みたい学生は、キラーテクノロジ(必殺技・得意技)を持つ研究室に進むと良いでしょう。そんな研究室で身につける技術は、その後オリジナルの必殺技を編み出すとっかかりになります。研究室訪問で、”この研究室の得意技は何ですか?*”と聞くと教えてもらえます。(*聞かれる側には厳しい質問です。研究者は常に自分にしか出来ないことは何か自問自答しています)
  • 強い研究ネットワーク-国内外の研究室とのネットワークを持ち、研究コミュニティの中にいることで、常に研究トレンドをキャッチすることは、学生の指導にも重要です。これも配属前に見極めることは難しいですが、学生/教員の学会発表数が多いことは研究コミュニティの中にいる必要条件です。
  • 強いOB/OGネットワーク-OB/OGが活躍している研究室、OB/OGが顔を出したくなる研究室は良い研究室です。